1970年代の想像 - Imagine the 1970s

色彩で1970年代を想像する 

2012年にある雑誌に掲載された、1970年代を舞台にした読切マンガからひとコマ抜き出して、できる範囲でカラー化してみました。作業期間は2020年の11月上旬です。

右半身付随のせいで利き手の右腕が使えないため、左手とPCおよびマウスを使って、絵を改造するような形で少し修正などを行っています。

トリミングしていない大きな絵の方は黒色の線画に、赤色に転換した線画コピーの(画像編集ソフトでいうところの)ガウスぼかし8.3pxを、不透明度64%で混ぜています。

ほんのちょびっとだけ、赤色がどこからか染み出してぼやけている、といった感じが出ていればいいなあと思いましたが、どうだろう。

白黒で1970年代を想像する

一応改造する前の、PCの中に保存してあった白黒のデータも載せておきます。これは雑誌に載った物に近い形のデータで、もともとのデータサイズは600dpiで55線(だと思ったけど、曖昧ですみません)のデジタルのトーンが部分的に入れてあります。

2011年頃に原稿作成をしていた時は、いったん紙に書いたこの絵をPCにスキャナで取り込んでデータ整形を行い、このデータをもう一度紙に出力して版下の様な形式にしながら、スクリーントーンを貼ったりなどの手作業を行うというちょっと変な作業をやっていました。

その辺の作業は『Manga titled "Guernica"』という記事でも(そんな詳しいって程でもありませんが)少し触れています。興味がある方はご覧ください。

1970年代のTVドラマ『傷だらけの天使』の事

以前、このコマをセピア調の色合いで加工してブログに載せていた時に『本来着色するとすればドラマの『傷だらけの天使』の中で神代辰巳さんが監督された時の様な、色彩のコントラストが強烈な印象の絵にするべきだろう、と強く思います。』と書いていました。

ここで2020年になって、実際に自身のマンガのそのコマに自分で着色してみて、『色彩のコントラストが強烈な印象の絵』と言葉にするのは簡単だけど、実際やってみるとなかなか大変だ、と思うことしきりでした。そこら辺はまだまだ勉強するところがあるという、何というかそういう気持ちを新たにした次第です。

ところで、TVドラマ『傷だらけの天使』(1974年10月5日から1975年3月29日まで放映)での神代辰巳監督は、第4話『港町に男涙のブルースを』と、第6話『草原に黒い十字架を』の2本を監督なされたのですけれど、中でも特に『色彩のコントラストが強烈な印象』だ、と自分が思ったのは第6話『草原に黒い十字架を』という話でした。

サブタイトル『草原に黒い十字架を』が伝えるように、画面に黒い十字架が現れるシーンがあるんですが、その場面の色彩がいわゆる派手な色合いではなくて、でも色のコントラストという点では使われている色それぞれが強烈に主張しているという、自分にはそんな風に感じた印象に残る場面でした。主演の萩原健一さんや共演の水谷豊さんたちも、まるでその色のコントラストの一つの要素となって溶け合っていくような、そんな感じにも思えました。

そんなシーンも含め、『傷だらけの天使』全26話中でも第6話は見る人を若干選ぶという風にも思います。自分はあれはもうテレビ番組じゃなくて大人向け映画の一本だと考えています。味わいをあえて言うなら苦くて深い。

『傷だらけ~』の他のエピソード、たとえば市川森一さんが脚本を書かれた回などにもそんな感じの話が何本かあって、高校生の頃にそこら辺の話をテレビの再放送で打ちのめされるようにして見ていなかったら、後にその影響を受けてマンガを描いたりはしてなかっただろう、自分の場合はそれで良かったんだと、何となく今はそう考えています。

と、いうわけで

少し長くなってしまいました。TVドラマ『傷だらけの天使』に関わってこられたすべての方々に感謝と敬意を捧げつつ、今回はこの辺で終わりにしたいと思います。

ここまで読んでくださった皆様も本当にありがとうございました。それでは、また。

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