左腕で描いた絵 - part 1
一応事情が分からない方にもお話しておくと、自分は2019年7月に脳出血となり、左被殻出血からの右半身麻痺となりました。自分の利き腕である右腕も動かなくなり、同時に右腕を使った絵も永久に描けなくなってしまったわけです。
それからは残された左腕と、PCとマウスをペンの代わりに使いながら、左腕を使った自分にとっての新しい絵が描けないものかどうか、おおよそ1年以上の間、試行錯誤を繰り返してきました。
新しく左側の腕を使って絵を描く
そのような事をしている内に、2021年の6月になってから何とか少しそれっぽいような絵を試験的ですがPCのモニタ上に描く事ができました。色々と拙い所などの不備はありますが、一応同年6月末の備忘録的記録としてデータを残しておこうと思います。
それではまず、左腕で描いた物のパート1として絵の方を、ここに出しておきます。
この絵を描くにあたっては、とりあえず準備段階として子供時代の自分が被写体となっている、昔のモノクロの写真をスキャナでPCに取り込み、それを下書き用のガイドとして用いるというところから始めました。
古いモノクロの写真
このガイド用とした写真の撮影者は自分の父親です。写っている自分は3歳か4歳か5歳ぐらいか、はっきりとはわからないそうですがどうもそれぐらいの年齢らしいです。
この写真のネガなどはもうとうの昔に失われていて、手もとに残されているのは縦10cm横5cmぐらいの紙焼き写真が1枚だけでした。
それでは、PCに取り込んだ時に少しサイズが大きくなりましたが、そのデータもひとまずご覧ください。次のようなモノクロの古い写真のデータです。
このモノクロ写真を、自分の場合は厳密なトレスというよりも参考用ガイドという考え方をして、形を構成している物の全体の線から細かいディテールまでを、増幅したり省略したりを繰り返しながら下書きを描いていきました。
このような感じで写真を下敷きにして、時折ガイドとしての薄さを調節したりガイド自体を無しにしたりしながら、マウスで線を引いていきます。
人物(いや、まあつまり自分の事ですけど)や一緒に写っている遊具関連の下書きの線は、実際の形より色々と誇張( デフォルメ )したり、ディテールまわりを絵の方で変えたりしています。
例えば、写真の中の半ズボンとハイソックスという服装も、自分的にはそれはあんまりどうだろうかなあとか思ってしまったので、絵の方で長いズボンに変更しました。
下書きが描けたら彩色に移ります。基本的にモノクロの写真から色を想像しながら決めていきますが、何だかこの辺りから理論的にどうも上手く説明できない領域に突入していくような気がしてきます。
時間をかけながら、頭の中にあった色を、現実の物の色と上手く折り合いをつけていくという、どうも言葉になりづらくて申し訳ないのですが、自分の中では何かそういった感じです。
子供時代の写真に関連して
一応他にも何枚か残されている自分の子供時代の写真ですが、なぜか多くの写真で同じ帽子を被っています。このガイドにした写真でも被っている帽子です。これはどうしたわけなのか。
例えばこの帽子とか、まあ他にもちょっとこじゃれたデザートブーツぽい(そんな立派な物でもないと思いますが)子供用の靴とか、そういうちょっと謎なアイテムが自分が写った古い写真には色々と存在しているのです。
その辺り、子供時代の自分の服装の事は、内職仕事で洋裁をしていた母親が考えながら、趣味で決めていたんだとは思います。その母親ですが多発性骨髄腫という病気でずいぶん前、私が24歳の時に亡くなっていますので、具体的に例えばその帽子の事とかは、もう何も分からないのですけれども。
そして何故か「例えばその帽子」という文章を2回も書くに及んで自分は、刑事役のハナ肇さんと松田優作さんが、ジョー山中さんが残した「ストウハ」という言葉について少し考えたりした、そういう好きな映画の事をちょっと思い出したりもしました。『人間の証明』という、 1977年度作品、角川春樹事務所製作第2弾の映画の事です。
この絵を描いた道具( 主にPC関連 )
この絵を描いた道具として用いたのは、Windows8.1のPC(2012年ぐらいに購入したHP社製のPC。プロセッサはIntel(R) Core(TM) i3-3220 CPU @ 3.30GHz、メモリ8.0GBの、古いデスクトップ型マシンです)と、ELECOMという会社のお手頃値段のマウス(M-BL24UB という型番が裏面に印刷してある)、そして自分の左側の腕です。
絵を描くPCのソフトはAdobe Photoshop Elementsのバージョン11.0で、昔ペンタブレットに同梱されていたものを使用しています。
そういえば、いつだったかのブログ記事に書いたんだけど自分の場合、右半身麻痺の後、残された左腕でペンタブレットを使うのがどうしても上手くいかずに、結局絵関連で使うデバイスはキーボードとマウスのみに限定したという経緯がありました。
それで結局今のところは、左腕の延長線上にマウスがあるという感覚でどうにかやっていけてるんじゃないかな、と思います。
まとめとして
今回の絵の線ですが、整理整頓はできている上品な線という印象はあるのですが、反面なんとなく線にあまり抑揚が無いという風にも自分には思えてきました。つまり線そのものに持たせられる感情があまりに無いのではないかと。次回以降の『左腕で描いた絵』では、そこら辺に気を使いながら色々と描いてみたいと思います。
また、一応次の『左腕で描いた絵 - pert 2』のガイドにする、子供の頃の自分が写っている写真というのはすでに決まっているのですが、ここであんまりよろしくない事象が。子供時代の自分の顔の正面からの表情が、この写真ではバーンと撮影されているのでした。
もしもWEB的に写真を公開する場合があれば、ガイド写真データの顔の部分にはモザイクをかけるつもりですが、新しく絵に描いた場合の顔の表情は、今のところマンガ的にデフォルメした少ないパーツで作ろうかとそういう風に考えています。
実は自分の場合、右半身麻痺になって以来、左腕を使って人物の顔を描くのがどうも上手くできない、苦手である、そんな状態だったのです。だから今回の『左腕で描いた絵 - part 1』でも顔の表情は描かないよう、そういう写真を選んでガイドとして使ったのですが、次回以降は少しでも苦手な点は解消できるようにしたいと、そう考えて人物の顔なども含めて、左腕で色々絵を描くようにする所存です。
というわけで、今回の記事はここまでにしたいと思います。最後まで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。それでは、失礼いたします。
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